魔法の言葉と薬の話(続・看板娘)

ニセ児童文学叢書
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その日の昼下がり、設楽絵美ちゃんは、うきうきとした足取りで廊下を歩いていました。でも、他の教室は授業中でしたので、あまり浮かれたそぶりは見せられないのですが、出来ればスキップしたいぐらいの気持ちで、歩を進めていました。
「んー……そーろそろかなぁ……?」
よく晴れ渡った空を窓から見上げ、ぽつんとつぶやいたときです。

ぱたぱたぱたぱたぱた……!

後ろから、ものすごく慌てた足音が迫ってきました。それに合わせて絵美ちゃんはピタリと止まり、くるりと背後へ向き直りました。
「はぁい、きょーこぉ♪」
「あっ……あれっ!? 絵美ちゃん!?」
きゅきぃっ! と古典的なブレーキ音を立てて止まったのは、同じクラスで絵美ちゃんの親友、相模鏡子ちゃんでした。
「ずいぶん慌ててるわね、きょーこぉ? どったの?」
「きっ……決まってるでしょ! お……おトイレよ……!」
「ふうん……」
「えっ!?」
言い終わらないうちに、横をすり抜けて後数歩のトイレに行こうとする鏡子ちゃんに、絵美ちゃんが立ちふさがります。鏡子ちゃんが右を抜けようとすれば右へ、左へ動けばそちらへ、絵美ちゃんは軽やかなステップで行く手をふさぎます。
「えっ?? えっ!? えぇぇっ!!」
「んふふ……きょーこ、アタシがバスケ得意なの知ってるでしょ?」
「しし……知ってるけど……なんでなんでなんでぇぇっ!?」
ただでさえ尿意が迫ってきているのに、障害物突破のために思い切り動かざるを得ない物ですから、鏡子ちゃんはもう必死の形相です。それでも、周りのことを思いだして、叫び声を全部床にこぼすあたりは、とても優等生でした。
「きょ・お・こっ♪」
「ひっ、あっ、きゃあっ!?」
そしてやおら、『けん・けん・ぱっ!』のリズムで、鏡子ちゃんに迫り、身体を抱き寄せる絵美ちゃん。そのまま、まるで社交ダンスのようにくるくると二人で回り、化学実験の授業でみんな出払っている、自分たちの教室へ入ったのでした。
「どっ、どうしたのよ絵美ちゃん……?」
絵美ちゃんの胸の鼓動が分かるぐらいに抱きしめられ、鏡子ちゃんはどぎまぎしながら訊きました。
「お嬢さぁん、どーしましたかぁー?」
でも、当の絵美ちゃんは、妙に芝居がかった口調でさらに強く鏡子ちゃんを抱きしめるだけです。そしてしばらく抱き合い、鏡子ちゃんがちょっとおとなしくなった頃、思いっきりの猫なで声で言いました。
「ねぇーん、きょーこおぉー……アタシ、きょーこにお願いがあるんだけどなぁー……」
「えっ……」
甘えるような目で可愛く言われては、いくらそこに何かしら不吉な物を感じていても、黙って聞くしかない鏡子ちゃんでした……。

「お嬢さぁん、どーしましたかぁー?」
それは、昨日の帰り道のことでした。絵美ちゃんは、ふいに後ろから声を掛けられました。
「あぁん?」
振り向いた先には、一人の小太りの男が立っていました。季節はずれの真っ黒な外とうをはおり、同じ色の山高帽をかぶっています。その時代錯誤なうさんくささたるや、問答無用で腰の入ったハイキックをえんずいに叩き込みたくなるようでした。ちなみに絵美ちゃんは、空手の茶帯です。
「おじさん、何よ?」
それでも絵美ちゃんがそうしなかったのは、その男のにやついた目が、しゃくに障るのもそうなんですが、何か、自分の心中を見透かしているような感じがしたからです。
「そこなおじゃうさん。この薬をあげませう」
「はあ?」
男は冗談のような口調でそう言うと、小さな丸薬が入ったガラスの小瓶を差し出しました。
「何よこれ?」
「魔法の薬に御座居まする。おじゃうさんの想ひ人……鏡子嬢に飲ませるがよろしひかと。のほほほほ……」
「なんでアンタ、きょーこの事……!」
ふざけきったしゃべり方に、突然鏡子ちゃんの名前が出てきましたので、絵美ちゃんはびっくりしてくいかかりました。
しかし……
「のわあっ!!!!」
「きゃぁっ!?!?」
やにわに男が、ぐわあっ!! と顔を拡散させてものすごい形相を作った物ですから、絵美ちゃんも同じぐらいに驚いて口を開けてしまいました。
「ていっ!!」
「んごっ!?」
そこへ、男の手がひらめきました。絵美ちゃんの喉の奥に丸薬を放り込み、飲ませたようでした。
「けふっ……なっ、なにすんのよ……!!」
不意をつかれた絵美ちゃんの怒るまいことか。えんずい斬りじゃあ飽き足りたりない、必殺の内臓殺しスペシャルでも見舞ってやろうかと思ったときです。
「あれ!?」
男の姿はすでになく、道ばたに丸薬の小瓶が一つあるきりでした。
『ほほほほほ……効果は身をもってご確認あれぇ~……』
風に乗ってそんな声が聞こえ、あたりはいつもの静けさを取り戻しました。
「うー……ん……」
全く唐突な出来事に、絵美ちゃんは首をひねってうなるばかりでした。
でも、使う使わないは別にして、持っておいてもいいかな、と思って、絵美ちゃんはその小瓶をポケットの中に入れました。

さて、場面を冒頭の教室に戻しましょう。
皆さんのご想像通り、男のくれた薬は利尿剤で、絵美ちゃんは鏡子ちゃんのお弁当のお茶に、こっそり薬を盛ったのです。それで、効き始める頃合いを見計らって、先に実験室を抜け出して待ち伏せしていたというわけです。
「な……何? 絵美ちゃん……」
抱きすくめられた腕の中、引きつりながらも目線をそらさない鏡子ちゃんに、絵美ちゃんはねっとりと吐息を感じさせる距離の唇から言いました。
「アタシねぇ……きょーこに、ここでオシッコして欲しいなあ……見たいなあ……」
「うっ……」
息をのむ鏡子ちゃん。薄々、そうではないかと思っていたのです。お互いの家でならそういうこともする仲の二人ですが、今は場所が場所です。でも、いやと言っても離してくれそうにない絵美ちゃんですし、何より、尿意はすぐそこまで来ているのです。
「だぁーいじょーぶよぉーん……ちゃぁーんと、見張っててあげるからさぁ……」
「で……でもぉ……」
「好きよ、鏡子」
「あっ……」
その一言を聞いて、一気に鏡子ちゃんの頬が染まります。そして同時に、「絵美ちゃん、ずるい……」と思いました。絵美ちゃんは、自分も絵美ちゃんのことが大好きで、その言葉を聞くと逆らえないのを知ってて言うのです。こんな意地悪があるでしょうか。でもやっぱり、それを聞くたびに、ただでさえおしっこを我慢して熱くなってきているおまんこが、もっともっと熱くなってきて、どうしようもなくなってくるのでした。
「け……けど、どうするの? 床にしちゃうのは……」
「こーゆーのが、あるんだなぁ……」
別の面からも股間をモジモジさせる鏡子ちゃんに、絵美ちゃんは自分のカバンから空になったペットボトルを出してきました。
「はい、この中にどーぞ」
「うっ……」
他に選択肢はありません。鏡子ちゃんは、震える手でそれを受け取りました。
「そこに座って。授業中なのを想像すると、燃えるかもよ……?」
「な、何言ってるのよぉ……」
困りながら、ショーツを脱ぐ鏡子ちゃん。ボトルの口を尿道口にあてがおうとするのですが、自分の目線からは見えませんし、焦りも手伝って、なかなか位置がつかめません。
「やりにくい? じゃあ、こうしてあげる……」
「あっ……」
そう言うと、絵美ちゃんは机の下へ潜り込んで、鏡子ちゃんのおまんこを指で拡げました。中は、おしっこ以外の物で濡れています。机の陰になって少し見えづらいですが、絵美ちゃんの目には、切なそうにうごめく大小二つの穴と、むせ返るような臭いがはっきり分かるのでした。
「いつもより、濡れ方多くなーい? きょーこぉ……?」
確かに、そのひくつく穴からおつゆがたくさんあふれているのが、机の薄闇にもよく分かりました。だって、自分で飲んでみて分かったのですが、あの薬は尿意と共にものすごく身体をうずかせる働きがあるからです。その効き目はすさまじく、絵美ちゃんは家のトイレで用を足し終わるや、便座に座ったまま何回何回もオナニーをしてしまいました。もちろん、オカズは鏡子ちゃんです。
「は……早くして……えみちゃん……で……でないとぉ……」
興奮を思いだしてうっとりしかけたところに聞こえる、歯ぎしり混じりの鏡子ちゃんの声。別に絵美ちゃんは、このまま彼女が自分の顔面めがけておしっこを吹き出させようが、ちっとも気にならないのですが、ここは家ではありません。後のことを考えると、断念せざるをえませんでした。
「はーいよ……」
「あんっ……!」
たっぷりと自分のだ液で濡らしたボトルの口を、鏡子ちゃんの尿道口にあてがう絵美ちゃん。「このままで支えとくのよー」と言い際に触れた鏡子ちゃんの指の震えがあんまりにもなまめかしくて、絵美ちゃんは、自分のおまんこが濡れていくのがはっきり分かるのでした。
「ち……ちゃんと見張っててよ……」
「へいへい」
もう限界、とばかりに弱々しい声を絞り出す鏡子ちゃんのかすかに濡れた唇。絵美ちゃんは、飲ませる時間と場所を間違えたかなあとちょっぴり思いながら、このままキスして押し倒したい衝動をぐぐっとこらえ、廊下の方を向くことにしました。
「はい、どーぞ?」
「んっ……うんっ……」
返事の最後は、お腹のいましめを解く小さなうめきでした。

ぱたっ……じょおぉおぉおぉおぉおぉおぉ……っ!!

「う……ううっ……あぁあっ……!!」
ボトルの底が抜けるのではないかと思えるぐらいの勢いで吹き出すおしっこの音と、薬で上乗せされたあらがいようのない快感を、それでもこらえようとする鏡子ちゃんの声が聞こえます。
「…………」
絵美ちゃんは、たまらなくなって後ろを少し振り向きました。すると、いっぱいの不安で泣き出しそうになっている鏡子ちゃんのまん丸な目と、視線がぶつかりました。その瞬間、ちょっとかわいそうだからそれなりに見張っていて上げようという絵美ちゃんの思いは、こっぱみじんに吹っ飛びました。うわずる声で言います。
「きょーこ……アンタ、なんて顔してんのよぉ……」
「ち……ちょっと絵美ちゃん……! ちゃんと見ててよ……!」
「見てるよぉ……ちゃんと見てる……アンタがぁ……教室でペットボトルにジョボジョボおしっこしてんの、ちゃんと見てるよぉ……」
「ちっ……ちが……あぁあっ……!」
その間も、鏡子ちゃんのおしっこは止まりません。いっこうに弱まらない流れはペットボトルをどんどんと満たし、顔を染める快感の紅潮は、遠目にもはっきり分かるほどでした。
やがて、長い長い鏡子ちゃんのおしっこが終わりました。
緊張しっぱなしの疲れと、やっと用を足し終えた安堵感と、なぜだかいつも以上にくすぶるえっちな気分に、鏡子ちゃんは、机の上に崩れ落ちるしかありませんでした。
「はふ……あっ……はあぁぁ……くっ……えみちゃ……これぇ……」
何とか気分を落ち着けようと、激しく背中を上下させながら、自分のおしっこがいっぱいに入ったボトルを絵美ちゃんに差し出す鏡子ちゃん。震える手が中身を揺らし、たぷん……と音がしました。
「きょ……こぉ……」
その音を聞いた瞬間、絵美ちゃんの理性にはロケットエンジンが装着され、はるか大気圏外へとすっ飛びました。いわゆる『ぷっつん』です。
「よこしなさいよぉっ……!」
ぷっつん絵美ちゃん、鏡子ちゃんの手からボトルをむしりとります。出したてほやほやですからとても熱く、たくさん入っているのでずっしりと重く、むせ返るような鏡子ちゃんの匂いをまき散らしている物。嗅いでいるだけで、頭の芯がビリビリにしびれていくのでした。
「はあぁっ……!」
「えぇぇっ!? ち、ちょっと絵実ちゃん嫌だぁっ!!」
鏡子ちゃんの悲鳴も、ぷっつん絵美ちゃんには聞こえません。大きく口を開け、その中身を口の中に注ぎ込んでいきます。
「うぶっ……く……うはあぁぁぁ……が……」
単なる塩水とは違う濃いしょっぱさが、のどを焦がしていきます。その灼けつきはさらなる刺激を求めて猛り、どんどんと絵美ちゃんにそれを飲ませました。そしてついには、いくらか身体に浴びた以外は、全部飲んでしまいました。
「きょーこの……きょーこのぉぉぉ……」
のどから背筋、背筋から全身に行き渡る、何かすさまじい衝動。それにつき動かされて、絵美ちゃんは自分のパンツを脱いでいきました。中は、飲んだ分がそのまま転じたのかと思うぐらいに濡れていました。
「ふう……ふうう……」
焦点の定まらないがゆえにたくさんの矢になって鏡子ちゃんを射すくめる、絵美ちゃんの目。ものすごい迫力をたたえています。
でもそれは、恐怖の迫力じゃあありません。大好きで、たまらなくて、切なくて、欲しくて、どうしようもなくて、ちょっぴり哀しくさえある……そんな目でした。
「え……みちゃん……」
だから鏡子ちゃんは、その目に見つめられて同じぐらいに自分のおまんこからおつゆをあふれさせながら、ゆっくり絵美ちゃんに向き直り、足を開いたのでした。

ちゅくり……

「うあぁっっっ……!!」
「はあぁあんっっっ……!!」
足を組み合わせ、たがいのおまんこをすり合わせ、コリコリにしこったびらびらと、パンパンに腫れ上がったクリトリスを感じた瞬間、それだけで、二人は同時に軽くイッてしまいました。
「あぐ……う……うはあぁぁ……きょ……こほおぉぉ……!」
大気圏外に飛び立った理性は意識の宇宙で爆発して粉みじんに砕け散り、ぷっつん絵美ちゃんは、けだもの絵美ちゃんになりました。夢中で、腰をねじ込んでいきます。
「おっ……おあっ……あはあぁぁっっっ……!! あっっ!! あいっっ!! いひいいぃぃ……!!」
「きひっっ!! いあっっ!! あっっ!! ああんっ!! え……みちゃあはあぁぁんっっ!!」
もうすでに、ここが授業中の教室であるとか、誰かが廊下を通る可能性であるとか、隣に聞こえるんじゃないかなんてことは完全にすっ飛んでいます。
そして、まともに書けば『あ』と『ん』と二人の名前の連呼と粘液音で枚数が尽きてしまうほどの時間が過ぎました。
「えっ……えみちゃ……!! わっ……私ぃ……また……あぁあっ!! 出ちゃうよぉぉっっ!!」
「いーーよぉぉ……出してぇぇぇ!! きょーこぉぉぉっっ!! アタシのマンコん中ぁぁ……オシッコして……してぇぇぇ……!!」
「んっ!! 出るっっ!! 出ちゃうっっ!! やっ!! イクっっ!! ひぎっっ!! あ……ふああぁぁぁーーーーっっっ!!!!」

じゅばっ……!!
じょじょじょじょじょじょじょじょぉぉぉぉぉ……!!

思いっきりイキながら、射精もかなわぬぐらいの勢いで、絵実ちゃんのおまんこにおしっこを注ぎ込む鏡子ちゃん。子宮の奥まではっきり分かるその熱い流れに、絵実ちゃんは本当に全身がとろけていきそうな錯覚に襲われました。椅子から転げ落ちて、そのまま床にへたり込みます。

しょおぉぉぉぉぉぉ……ぢょろぢょろぢょろぢょろ……

鏡子ちゃんは、ぐったりしながらもまだおしっこを吹き出させています。その放物線は弱まることなく、絵実ちゃんの頭上へと降り注ぎます。
「あふっ……は……あぁあぁっ……えみちゃぁん……見てぇ……まだ出るのぉ……出るのぉぉぉ……」
「うん……出てる……いっぱい出てる……ステキ……ステキよきょーこぉ……」
鏡子ちゃんのおしっこを真正面から浴びながら、絵実ちゃんは恍惚そのものの顔でいました。
「出る……全部……いっぱい……あぁ……え……みちゃ……あれ……?」
「……えっ……!?」
いつまでもいつまでも出続ける鏡子ちゃんのおしっこ。やがて……その身体がしぼみ始めましたではありませんか!
「あれ……? あれれ……?? え……みちゃ……ん……た……すけ……」
風船から空気が抜けるように、鏡子ちゃんの身体はどんどんしわくちゃになっていきます。
「きょーこ?? きょーこぉぉぉーーーっ!!」
叫びながらすがりつく絵実ちゃん。でも……

ぺしゃん……

鏡子ちゃんは紙より薄くぺらぺらになり、そのまま、オブラートのようにおしっこの海に溶けてなくなってしまいました。
「……きょーこ……うそでしょ……? そんな……」
教室いっぱいに広がったおしっこの海にへたり込み、絵実ちゃんは大粒の涙をポロポロ流して泣きました。
「うっ……そんな……いや……いやあぁぁぁ……きょーこ……きょーこぉぉぉ……!!」
涙はいつまでも止まることなく、身体中が全部涙になって流れていくかと思えるぐらいでした。
……そして事実、泣けば泣くほど絵実ちゃんの身体はしぼみ始め、どんどん小さくなっていくのでした。
ああ、これできょーこの後が追える。待っててねきょーこ……。そう思いながら、絵実ちゃんはますます涙を流し……自分もまた、オブラートのように、おしっこと涙の海に溶けていきました。
『きょーーーこぉぉぉーーーーーっ……!!』
絵実ちゃんの最後の叫びは、声にはなりませんでした。

・・・・・
・・・

「きょーーーーこぉぉぉーーーー!!!!」
がばり! と絵美ちゃんが跳ね起きたのは、ベッドの中でした。
「どっ、どっ、どうしたの……絵美ちゃん……!?」
そして、かたわらには、自分と同じく生まれたままの格好をしている鏡子ちゃんが、突然の大声に目を白黒させながらこっちを見つめていました。
「へ? きょーこ? あの変なオッサンは? 薬は? あれ?」
混乱のあまり、脈絡のない言葉を思いついたままに並べる絵美ちゃん。困ったような鏡子ちゃんの声がします。
「絵実ちゃんってば、何言ってるの? 変な夢でも見たの?」
「えっ……それじゃあ……」
そこで絵美ちゃん、やっと思い出しました。確かに、一緒に帰る途中、妙な黒ずくめの男に声をかけられましたが、『うるさい!』と、問答無用でえんずい斬りを見舞ったのでした。男は鈍い音を首からたてて倒れましたが、そのまま放っておきました。そして、いったん別れてから鏡子ちゃんの家に遊びに来て、いつものようにえっちをして、いつものように一緒に気持ちよくイッた後、何だか眠くなったので、そのまま眠ったのでした。
「よかった……きょーこ……きょーこぉぉ……」
絵美ちゃんは、鏡子ちゃんの胸に顔を埋めて、くしゃくしゃの顔で泣きました。夢で良かったと、心の底から思いました。
「絵美ちゃん……」
鏡子ちゃんは、胸がいっぱいになりました。いつもイジワルばっかりする絵美ちゃんが、こんな弱くて可愛い顔を見せてくれたのは、初めてだったからです。嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。
「好きよ、鏡子……好き……アタシの……鏡子ぉ……」
「私も、絵美ちゃんのこと大好きだよ……」
鏡子ちゃんは、絵美ちゃんのことがもっともっと好きになりました。

それからその日は、へとへとになるまでやりまくった二人でしたとさ。

―おしまい

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